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「俺が? こいつの剣の腕によるなぁ」 「僕剣得意です」  にへらと笑うトシは自信ありげだが、タオには「ぼぅくけんとぅうぃれすぅ」と謎の言語にしか聞こえなかった。だから「トイレならあっち側の奥にあるぞ」とタオが見当違いの返事をしても致し方あるまい。マキは「付き合うか?」と心配そうにトシを見つめ、彼らのすれ違う様を一人はっきりと理解しているトキワは苦笑している。 「まあともかくどう? 今なら腕慣らしに丁度いい討伐のお仕事あるけど」 「やります」  即答するトシ。トシの言葉は明瞭に聞き取れなかったもののその表情から何を言わんとしているかはその場にいた誰もが理解できた。タオは慌てて止めようとするがトシのきらきらした無垢な瞳に見つめられ口を噤んだ。それから二人で見つめあうこと数十秒。ええい、ままよとタオはカウンターを叩き大きく首肯した。 「つきあってやるよ! これも何かの縁だ」 「じゃあ決まりね」 「よろしくお願いします」  天真爛漫を表したかのような笑顔で放たれたトシの台詞が「よろしゅうおねがあいしまっしゅ」と聞き取れ、タオが一瞬決断を早まったかと不安になったことは誰も知らない。
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