第一章

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俺が立ち上がると、彼は頭を下げた。 男「先程は申し訳ありませんでした」 真「何故謝るんです??」 男「出過ぎた真似を致しました」 真「謝罪しろと、言われたんですね..申し訳ない」 俺がそう言うと彼は不思議そうな顔をした。 真「お名前を伺ってもよろしいですか」 男「宮野孝宏(ミヤノ タカヒロ)です」 宮野孝宏.. 真「若い奴が生意気にと思われたことでしょう」 宮野「いえ、仕事ができるできないに年齢は関係ないかと」 真「....」 宮野「私も今年で32ですが部下にもたくさん私以上に仕事ができる者は大勢います」 真「そう思ってくださる方がいらっしゃると、こちらも助かります」 そうか.. 宮野「いえ」 そうか。 ふっと微笑むと俺は右手を差し出した。 真「これからもよろしくお願い致します」 宮野「こちらこそ、よろしくお願い致します」 そう言って握手を交わす。 真「近々またお会いしたい」 握る手を引き寄せると耳元でボソリと呟いた。 真「次はプライベートでぜひ」 宮野「っ、?!」 困惑する宮野の横顔を見ながら、俺は部屋を後にした。
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