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今季最高の暑さを記録するだろうといわれていた、ある夏の日。
「ねぇ」
額の汗を拭いながら振り返ると帽子を深く被った男が立っていた。
夏休み終盤に差し掛かり、登校日で久しぶりに学校へと行っていた。
午前中で終わり友達と他愛もない話をしながら途中まで下校し、別れたすぐ後のことだった。
真「なんですか」
蝉の鳴き声でかき消されるかもしれないか細い声で呟くと、聞こえていたのかその男はじりじりと俺に近づいてきた。
ヤバい、
見るからして怪しいその男に俺は瞬時にそう思った。
心臓の鼓動がはやくなり、恐怖心からか鞄の持ち手に力が入る。
真「失礼します」
ぼそりと呟き走ろうとすると右腕を強く引っ張られ
真「っ、!」
そしてそのまま口に布を当てられた。
―――……
真「....」
またか。
夢だと気がつくのは真っ白な天井を目にするとき。
ゆっくりと起き上がると小さく息を吐いた。
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