第一章

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自分を中心として仕事が回っていく、そのことを痛感する毎日。 どれだけ必死に意気込んでいてもついてこない結果の連続に、気づけば溜息ばかりついていた。 そして一ヶ月も経たないうちに俺は父に呼ばれることになった。 真「....」 真父「随分やつれたな」 カップに珈琲を注ぎながら俺に言葉を投げ掛ける。 真「申し訳ありません」 真父「どうして謝る」 真「俺は、」 “経営者に向いていない” わかっていても認めたくないという自尊心が邪魔をする。 真「正樹兄と慎二兄とは違うみたいです」 幼い頃から二人を見てきた。 成績優秀で優しくて、誰からも信頼されリーダーにも向いている。 真父「違うのは当たり前だろう、血は繋がっていても別人だ」 真「はい」 真父「誰も正樹や慎二と同じように頑張れなんて言ってないだろう。真は真らしくやればいい」 真「....」 真父「だから真にあの会社を任せたんだよ」 途中で全部投げ出したらなんて考えたこともない、なんて綺麗事だ。 けれどそれで楽になってしまったら次は何をすればいいのだろう、と考える自分もいた。 俺は不器用だ、自分のことは自分がよく知っている。 辛い、しんどい..そう思っていたけれど今の仕事にやりがいを感じていたことは確かだった。 多からず、少なからずだけれど。
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