第一章

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それからすぐにとはいかなかったが、徐々に流れがこちらにやってきた。 なかなか話し合いが進まなかった契約会社との商談もうまくいき、関連会社から続々と商品発注連絡が入ってきた。 女「真様、午後から別の会議が入っています。昼食はその間にでも」 真「わかった、トイレ寄るから先行ってて」 女「はい」 午前の会議が終わり出張先の会社のトイレに入る矢先、中から俺の名前が聞こえた。 男「ったく、なんでもかんでも自分の思い通りになるって思ってるんだよ。今回だって全部向こうの言いなりだぜ??部長もへらへらしちゃってさ」 男「七光りはいいよな。まぁ、どうせすぐ潰れるよ」 男「若いからっていい気になって「失礼」 大きな声で会話をする二人の後ろを通り、空いている一番奥の小便器へと進む。 男「....」 男「....」 先程の勢いはどうしたのか、何も喋らなくなり物音一つも立てない。 真「失礼しました」 用をすまし、再び二人の後ろを通る。 真「外まで聞こえてましたよ。気をつけてくださいね」 男「..どうも」 作り笑いを浮かべながら俺は手を洗い、トイレを出た。
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