目覚め

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――――――――ッ! ・・・・・・。 またかよ・・また―― 「あの夢か・・・・」 俺の名前はレイク・エイヴァ。魔法学校に通うどこにでも居そうな極々平凡な高校生。 決して強いわけでもなく、弱くもない。真ん中位だろう。 頭も良くはないが、悪くもないやはり真ん中といった所だろう。 「何事も平凡」を忠実に体現する只の高校生だ。 だが、そんな俺にも悩みがある。 最近、毎晩のように同じ夢を見るようになった。 夢自体は別に大したことはない。 夢を見た後に決まって頭が痛くなってくる様になったのだ。 しかも、その痛みは日を追うごとに増してくるのだ。 そしてその痛みが引いた頃に、頭の中に微かな声が聞こえてくる。 「我が指輪を探せ」、と。 ただ、それだけ。それだけが聞こえてくる。 気味が悪くなって、病院に行ったりもした。 でも結果はいつも決まって「異常ナシ」、だった そろそろ、また声がする時間だ。 俺は、全神経を集中させた。 ―――我の指輪を探せ。――― 今日もまた同じ言葉か。 場所くらい教えてくれてもいいと思うんだがな。 まあ、いい。そろそろ学校に行く準備でも――― 『我の指輪を探せ。』 ―――!何だ?二回も声がするなんて始めてだ。 『太古から出でし驚異に立ち向かう為に。』 『封印を解け。』 『かの「神の方舟」にて。』 『かの「祭壇」にて。』 『我等の封印を。』 『一刻も早く――』 ・・・・・・・? 何だ?こんなこと今までに無かった。 聞こえる声だって一人じゃなかった。 男の声、女の声。合わせて七つの声が響いた。 それに、封印を解けってどういう事だ? 「神の方舟」。この言葉が指すのは恐らくセイン・カヌア大神殿の事だろう。 あそこにはかつて神が作ったとされる巨大な船があった筈だ。 「祭壇」は解らない。そもそもそんなものは大神殿には無い。 一体どういう事なんだ? いくら、俺が平凡とはいえ、興味心位はある。 頭に響いた言葉が心に引っ掛かった俺は、今日の放課後に大神殿に向かう事にした。 でも、その前に―― 「急いで準備しなきゃ間に合わないな、これは。」 考えすぎたのか、時間はあと10分を切っていた。
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