淡い淡い空に向けて……

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「早く返信来ないかな……?」 そう思った瞬間に、軽快な電子音が鳴る。 ちょっと早すぎやしませんか? そう思いながら、早まる鼓動をおさえて携帯の画面を確認する。 ……匠かよ、まぎらわしい。 イライラしながら本文を見る。 幼馴染からのメールは、保育園の同窓会のお知らせだった。 「……面白そう」 『五月二日九時から保育園にて、参加者は大量のお菓子や飲み物を持参すること。返信は関宏まで』 関宏? 誰だっけ? よく見ると、メールには関のアドレスがわざわざ添付されている。 肝心の関宏を思い出せないながらも、とりあえず参加の旨を伝えるメールを送る。 ……と、携帯がメールの着信を伝えてきた。 恋愛のできない後輩からだった。 相も変わらずの気の抜ける文体で、 『好みのタイプっすかあ~? いやー、まずですね、俺に好きな子ができる可能性自体がないですからねえ、よくわからんですわ』 ……さすが脱力系男子というべきか。 質問をとてもゆるくゆるくかわされてしまった。 気落ちしながらも返信を一分で組立てて送る。 今度は関宏からメールがきた。 どうやら先ほどのメールで名乗りそこねていたらしい。 「坂下ほなみです、と」 登録よろしくね、というデコメもつけて返信。 それとほぼ同時に恋愛の出来ない子から返信がきた。 ……早くない? スマホに変えてからメールが格段に遅くなったって言ってなかったっけ? もう慣れたのかな? そう思いながら何気なく開いたメールで、軽く打ちのめされた。 『好きな人ができる可能性なんぞ、万が一にでも億が一にでも兆が一にでもありえないっすよ。ましてや彼女ができるなんてことは天文学的確率にも負けないくらいないっすわ』 胸の奥深くに何かが刺さった気がした。 くらくらする。 地球全体の人口ってどのぐらいだっけ? その中であの子が好きになるかもしれない人はどのぐらい? その中に私はいるのかな? そんなことを考えていたらいつの間にか眠っていた。
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