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「……そう、ですか」
困ったような雰囲気が伝わり、私は顔を顰めた。
……なんで、こんなガキがいいのかしら?
見るからにガキで、きっとアイツとは身体の関係を持ったこともないはず。
でも、きっと私を見てあまり動揺していない辺り、どういう意味か分かっている。
「……じゃあ、また来ると伝えてもらえませんか?」
「……いや、そんな必要ないわ」
にんまりと笑った。
目の前のこの子は目を見開いて、少しだけ後ずさりした。
私は逃げられないように手首をガッシリと掴み、中へ連れ込んだ。
ずんずんと中へ入れ、足が縺れそうになっている女の子を寝室の隣の部屋へ押し込んだ。
呆然と私の目を見つめ、静かに瞬きをした。
どんっと肩を押すと、力が抜けるように尻餅ついた。
そんなこの子に視線を合わせるようにしゃがみこみ、私は言った。
「ねぇ、賭けをしない?」
「………え?」
「私、彼が好きよ」
「……………」
「どうしても手に入れたいぐらい、とっても大好きなの」
ニッコリと口元を緩めると、女の子の表情がひきつった。
「………か、賭けとは?」
「…………どちらが、彼の心を掴んでいるか」
爪先でなぞる様に頬を撫ぜた。
「……ただ、それだけよ」
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