君だった(将×径)

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* 「蒼井さんおはよう、起きて」 「んぅ、しょぉくん?」 寝ぼけた声でそう言うと寝癖のついた頭をクシャクシャってされて、少しずつ現実に戻される。 目の前がぼやけて良く見えないので眼鏡を探す。 ‥無い。 昨日枕元に置いて寝たはずなのに無い。 「眼鏡が無い」 「蒼井さん早くこっち来て。ご飯食べよう」 だから眼鏡が無いんだよ。 「大丈夫?ほら掴まって」 そう言って手をぎゅって握られる。 将くんの手はとても温かかった。 リビングについて、一番手前の椅子に座らせられる。 「ご飯って将くん何を作ったの?」 「蒼井パン」 「何それ?」 「いつも作ってくれるやつ」 あー、あれね。 食パンにマヨネーズとケチャップをかけてオーブンで焼いて作るやつ。 「いただきます」 そう言ってパンを口にする。 「ん、うまい」 「良かった‥あ、コーヒーいる?」 「うん」 径くんは甘いのだよねーとか言いながらコーヒーを入れに行ったのだろう。 目の前に居た陰が無くなった。 眼鏡、無いと何も見えない。 改めて実感する。 「はい、甘いコーヒー」 そう言って目の前に置かれる。 右手を握られて、コーヒーカップに運ばれる。 流石にこれくらいなら見えるんだけど‥せっかくだし甘えよう。 「やっぱり眼鏡無いと生活しずらい?」 「うん。何も見えないしね。将くんのイケメンな顔も見えない」 「なっ‥//さ、径くんからかわないでよ!」 本当のこと言っただけなんだけどな。  
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