Rain...2(ショウ×径)

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今日も俺は住宅街に向かって飛ぶ。 そしてあの男がいるマンションの部屋の近くまで行き、少しバレないように警戒しながら近付く。 だが、今日は中の様子が何も見えない。 電気が消えている。 「今日はまだ帰って来てないのか?」 それにしても遅い帰りだ。 人間のくせに、早く帰らないと危ないだろう。 舞いをするためには大切な身体なのに。 あの男は一体何をしているのか‥ 少し待ってみよう。 そう思ってマンションの近くにあった大きな木の下で雨宿りをしながら、男の帰りを待った。 「さむっ」 後ろから人間の声が聞こえて、少し緊張が走る。 あの男かもしれない。 ピチャピチャと雨の音を鳴らしながらこちらに向かって歩いてくる。 あと少し‥ あとほんの少し‥ ーピチャ 俺の横で足音が止まった。 「だいじょーぶですか?」 閉じていた目を開くと、あの男の顔が目の前にあって本当に驚いた。 そして葉と葉の隙間から降っていた少しの雨が俺に全く当たらないようになっている。 男が傘の中に俺を入れてくれているためだった。 「俺は大丈夫です。貴方が濡れてしまいますから‥」 「僕はだいじょーぶ。僕の家、ここなんだ。よかったら、シャワーだけでもあびてかない?このままじゃ、風邪ひいちゃうよ?」 男は舌っ足らずな話し方で、優しい笑顔を俺に向けた。 あぁ‥凄くあったかい人。 男と話したときの第一印象はそれだった。 to be continue...  
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