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そんな美しい沈黙を破ったのは誰かの足音だった。
「ショウ様、ジャニル様がお呼びです。」
「楽しかったか?俺の尾行は。」
俺の尾行をして蒼井さんの家を突き止めて、蒼井さんを監視し、ジャニル様に報告。
そんな裏切り行為をしたのは、ユリだった。
「き、気付いていらしたのですか。」
「あぁ。途中からな。」
ではなぜ言って来なかったのか
そう言いたそうな顔をした。
「ユリ、お前はもう俺の側近を辞めてくれ。ジャニル様に逆らえないような奴は‥要らない。初めに言ったはずだぞ。俺は自由を奪われることが一番嫌いだと。俺が嫌がるのを分かって尾行しただろ?主人は俺だ、ジャニル様じゃない。それを間違えたからお前はクビだ。」
その言葉を聞いて、ユリの顔は真っ青になった。
「シ、ショウ様?何のご冗談でしょうか。」
こいつ、本当にずっと俺の側近をしてきたのか?
俺のこと何も分かってないんだな。
「俺はこんな冗談を言うやつか?本気だ。これからはジャニル様の側近でもしたらどうだ?」
そう言って蒼井さんの元へ行き、
『帰ろう、蒼井さん。』
俺は笑顔でそう言った。
「お、お待ち下さい。ショウ様!!」
まだグダグダと言い出しそうだ。
こんなに面倒なやつだったっけ。
「・・・見苦しいぞ、ユリ。」
一段と低い声でそう言うと、彼は何も言って来なかった。
これがユリと最後の会話だった。
to be continue...
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