馴初

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 呆気にとられて眺めていると、つられてドワーフとノームも走りだし、騒々しい追いかけっこが始まった。彼等は意図してなのか偶然なのか、私のいる所を中心にぐるぐる回りだす……追いかける連中は私には関わりたくないようで遠回りするのに、三人の妖精は逃げるのに必死だからか、私のすぐ傍を平気で横切ったりする。  私はうんざりしてきて立ち上がった。この鬼ごっこ、私だけでなく他の採集者にも大迷惑だ。集団が何となくまとまったところで、草を焼かないよう連中の胸から上辺りに炎を浴びせた。 「争い事は戦場でやんな!」  過敏反応を示したのは、武装集団の方だった。軽く炙っただけなのに、武器を放り出して散り散りになった。私は薬草を摘みに来たところが、武器を拾うことに…… 「いや~助かった、ありがとう! 俺はミン。君は?」 「え? あ、どうも。私、サラ」  ピクシー並の馴れ馴れしさで声をかけてきたのは、最初に逃げだしたハイエルフ。私は彼等を助けようと思って火を吐いた訳ではない。こいつ、私が火を吐くようわざと近くを逃げ回っていたのか。エルフは策謀に長けた種族でもある。
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