葛藤

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 常に緊張した三国間にも、年に一度は安息の期間が設けられている。全世界休戦月――各地で、種族を越えた交流祭や様々な催しが開催される祭月。  それぞれの催し事には、期日が重ならなければいくつでも参加できる。ただし、参加する催しによっては、一つ参加しただけで祭期間が終わってしまったり、仲間単位、四人一組でなければ参加できなかったり、制限もある。どの催しに参加するかは、よくよく考えないといけない。  私は、祭月中ずっと開催される世界一強者決定戦に出場するつもりで、自分が住んでいる地域の参加受付窓口に来ていた。これに参加すれば、今まで一度も出会うことが無かった同族に当たるかもしれない……力自慢風の者達がたむろしている受付に向かう途中、ふいに出現した人影にぶつかった。 「いた、捜したよサラ!」  私の前に立ちふさがったのは、ミンだった。 「なぁに、ミン。ちょっと邪魔なんだけど」 「サラは何の催しに参加する? よかったら俺達と幻の魚取り大会に参加しない? 仲間参加が条件なんだよ」 「私、世界一強者決定戦に参加する。やっと制限年齢越えたし」
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