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 魔獣族・妖精族・人間族、三国三つ巴の戦いが繰り広げられているこの世界。私は、サラマンドラ――妖精には火竜人、人間には火吹き竜と呼ばれる竜人族の一種として生まれた。  物心ついた時から、独り。親にも同族にも、今まで一度も会ったことがない。聞いた話によると、サラマンドラは魔獣族の中でも最も少ない希少種らしい。そのせいか、同族に出会うことは全く無いのに、噂や伝説じみた迷信は山のように耳にする。  私に限らず全体的に数の少ない魔獣族に比べ、妖精や人間は多種多様で数も多い。サラマンドラの迷信を創り出しているのは、主にそんな他国の者達。私の鱗で作った鎧は無敵だの、私の舌の肉を食べると火を吹けるようになるだの……きりがない。  他国、異種族の全てがそんな迷惑を信じているとは思わないけれど、関わるのは煩わしい。同国の者でさえ、仲間として共に行動するのは難しい……私は、とても厄介な存在。
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