馴初

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 彼と初めて出会ったのは、薬草が採れる大草原。三国を跨いでいながら明確な国境線はなく、薬草の種類も豊富で大量収穫できるから、いろんな種族が採取に訪れる場所でもあった。もちろん、そういった場所には、薬草摘みが目的でない物騒な輩も集まってくる……  そんな草原へ、私は一人、彼は妖精仲間と三人で、薬草を摘みに来ていた。彼等はわりと近くで採取していたものの、私は基本単独行動。なるべく視界に入らない辺りで黙々と手を動かしていた。  そこへ、見るからに草摘みに来たのではなさそうな集団が通りかかった。似たような目的で意気投合したのか、四人二組で八人。数人と視線がぶつかったけれど、奴等は私をしみじみ見るなり慌てて目を逸らした。勝ち目なしと判断したのだろう。  武装集団は、少し離れた所で草を摘んでいるノームとドワーフ、ハイエルフの軽装三人組に目を付けた。八人は物言わずに目配せし合うと、武器を振り上げて襲いかかった。  ノームとドワーフだけなら間違いなくやられる。でもハイエルフがいるから、ギリギリ三人が勝つか最悪五分で引き分けるだろう、と横目で様子を窺っていたら、何と最初に逃げ出したのは一番強いはずのハイエルフだった。
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