プロローグ

3/7
前へ
/72ページ
次へ
2012年 夏~ 「おーい!尚、一緒に帰ろうぜ!」 「チッ…なんだ雅かよ、まぁいいや」 「コラコラ!!“なんだ”とはなんだ!」 「うっせぇな、置いてくぞ」 「わわわ、ごめんってー!」 雅に構わずスタスタと先を歩いていく尚 その後ろを落ち着きのない様子で 大型犬のような雅がついて行く 尚と雅は幼稚園のことからの幼馴染 性格も価値観も合わないのに 何故かずっとツルんでる関係だ 「あっつー…俺死にそうだよ尚~」 「あっそ、じゃあ死ねば?」 「え!さすがにそれは僕ちゃん傷ついた」 そう言って拗ねるフリをする雅 視界に入れようとせず無視する尚 こんなの日常茶飯事 俺達はもう高校3年生だ 受験もあれば恋愛もバイトもある 忙しい身分なんだ なんで男に追っかけまわされなきゃなんねぇんだと心の中で呟く でも犬みたいになついてくれる友達は 雅しかいなかった それが尚と雅の腐れ縁の理由… そして今は夏休み 受験勉強?俺はしなくても頭いい バイトして金貯めて早くこの町を出るんだ 田舎臭いこの町から 「なぁ、尚はやっぱ卒業したら東京?」 「当たり前」 「そっかぁ~俺豆腐屋継がなきゃなんだ」 「ご愁傷様」 そう、この町は超田舎くせぇ 町に20歳未満は20人いたらいい方 ジジィやババァばっかの町 「若い人間はすぐに都会へ行く」 これが俺の母親の言葉 そりゃそうだろ、こんな糞田舎 誰がいたいと思うかよ それに…ここはいわく付きの町だしな…
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加