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2012年 夏~
「おーい!尚、一緒に帰ろうぜ!」
「チッ…なんだ雅かよ、まぁいいや」
「コラコラ!!“なんだ”とはなんだ!」
「うっせぇな、置いてくぞ」
「わわわ、ごめんってー!」
雅に構わずスタスタと先を歩いていく尚
その後ろを落ち着きのない様子で
大型犬のような雅がついて行く
尚と雅は幼稚園のことからの幼馴染
性格も価値観も合わないのに
何故かずっとツルんでる関係だ
「あっつー…俺死にそうだよ尚~」
「あっそ、じゃあ死ねば?」
「え!さすがにそれは僕ちゃん傷ついた」
そう言って拗ねるフリをする雅
視界に入れようとせず無視する尚
こんなの日常茶飯事
俺達はもう高校3年生だ
受験もあれば恋愛もバイトもある
忙しい身分なんだ
なんで男に追っかけまわされなきゃなんねぇんだと心の中で呟く
でも犬みたいになついてくれる友達は
雅しかいなかった
それが尚と雅の腐れ縁の理由…
そして今は夏休み
受験勉強?俺はしなくても頭いい
バイトして金貯めて早くこの町を出るんだ
田舎臭いこの町から
「なぁ、尚はやっぱ卒業したら東京?」
「当たり前」
「そっかぁ~俺豆腐屋継がなきゃなんだ」
「ご愁傷様」
そう、この町は超田舎くせぇ
町に20歳未満は20人いたらいい方
ジジィやババァばっかの町
「若い人間はすぐに都会へ行く」
これが俺の母親の言葉
そりゃそうだろ、こんな糞田舎
誰がいたいと思うかよ
それに…ここはいわく付きの町だしな…
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