相沢 悟

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ある時、俺の所属部署の飲み会があった。 期末かなんかのお疲れ会みたいのだったと思う。 人と関わらないようにしている彼女でも、さすがに参加していた。 彼女は一番隅に座っていた。 俺も偶然を装おって彼女の隣に座った。 その近くの席にいた他の女子社員達が、 「相沢さん、何飲みますぅ?」 と言って、近づいてきた。 俺は適当に 「じゃ、ビールで。」 と言った。 それよりもこんなチャンスは他にないと思い、 「普段よく飲み行ったりするの?前の仕事は何してたの?」 とか色々聞きまくった。 彼女はだいたい一言しか返事がなく、会話が続かなかった。 それでも、会話が途切れないように、話し続けた。 こんなに女性の反応が悪い事があまりなかったから、どうしていいか分からなかった。 結局、最後まで、彼女は 「へぇ~。」とか、「そうなんですか。」 位しか反応を示さなかった。 ただ、最後に 「お疲れ様です。」 と微笑んでくれた。 それだけで、がらにもなくテンションが上がった。
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