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私は、今の心臓の高鳴りを打ち消すように、
「相沢さんて、何で彼女いるのに浮気したんですか?」
大して興味がないが、何か話をしないと、自分が落ち着かなかった。
相沢さんは、
「う~ん。あんまり彼女の事好きじゃなかったから。」
とさらっと言った。
私は思わず、
「なのに同棲してたんですか!女の敵だ!」
と思ったまま口にしてしまった。
相沢さんはいきなり笑い出して、
「あははっ!黒沢もそんな人間らしい感情あるんだな。」
とかなり失礼な事を言った。
確かに会社での私しか知らない人からしたらそうかもしれない。
「相沢さん、失礼ですよ。私にだって、喜怒哀楽はあります。」
とちょっと怒りながら言った。
「ごめん、ごめん。」
と相沢さんは子供をあやすように言った。
私は、そっけなく
「相沢さんて、本気で女の人好きになった事あるんですか?」
と聞いた。
相沢さんは、
「…。あるよ。今も本気で好きな人がいる。」
と急に真面目な顔で言った。
私は、相沢さんの真面目な顔を見て、
「そうですか。」
としか言えなかった。
何となくそれが嘘じゃないと分かったから、それ以上何も言えなかった。
私は、話題を変えたくて
「もう帰りましょ。まだ今週は始まったばっかりですし。」
と言った。
相沢さんは、
「そうだな。ただ、帰る場所一緒だよ。」
と意地悪そうに言った。
「うぅ~…。早く家見つけて下さいね!」
私はそう言ってお店を出て行った。
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