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私は、
「住む場所がないのは分かりましたけど、何で私の家を選んだんですか?相沢さんなら、他に泊めてくれる女性がたくさんいるんじゃないですか?」
相沢さんは、社内でも軽いという噂を聞いた事がある。
正直、特定の彼女がいた方が驚きだった。
相沢さんは、
「確かにいない事はないけど、もし付き合ってくれって言われたら、面倒臭いじゃん。」
としれっと言った。
「・・・。」
ちゃんと自分がモテるのも分かっている。
女の敵だ。
「じゃあ、男友達とか、男性の同僚とか、私以外にもいるじゃないですか。」
そんな理由じゃ、私も納得できない。
「俺、地元じゃないから、知り合いも少ないし、同じ会社のヤツだと、色々、会社で噂されたら面倒だろ?彼女と別れて家を追い出されたとか。」
相沢さんて本当に勝手な生き物だ。
初めてまともにしゃべったけど、正直、好感が持てない。
こんな人を好きになる女性の気持ちが分からない。
でも、私は、
「私の家にいた方が変な噂が立つかもしれませんよ。」
と言った。
相沢さんは、
「それはないな。」
と言った。
「何でですか?」
「黒沢って、会社での人間関係を放棄してるだろ?業務以外で人と会話してるところ見た事がないし。だから、色々ベラベラしゃべったりしないと思ったんだよ。」
相沢さん、意外に私の事分かってるじゃん…。
確かに、私は会社の人と必要以上に関わらないようにしている。
それは平穏な生活のために、こういった訳の分からない事に、巻き込まれないためなのよ!!
と相沢さんには言えず、心の中で叫んだ。
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