淡き日々

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俺が八歳になって数ヶ月たった辺りからだろうか。 母が俺に対してよく暴力を振るようになった。 母はその頃から些細なことでもすぐに火がついたかのように怒る。 あまりご飯も貰えなくなり俺は少しずつ死へと向かっていった。 また、家から一度も出されたことのない俺の声なき叫びは誰にもキャッチされずに沈んだ。 暴力を振る母は怖かったが不思議と嫌いにはなれない。 なぜならときどき元のやさしい母に戻ってくれるからだ。 そしてその時は本当に小さなことでも大袈裟に褒めてくれる。 そして色々な遊びに付き合ってくれたりもする。 だから俺は母が嫌いになれなかったんだ。
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