淡き日々

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幼かった俺は何もかも母の言う通りにした。 『標的指定 首』 そう呟いて軽くナイフを上に投げる。 するとナイフは空中で一度ピタリと止まった。 母の首辺りに浮いた的の中央をめがけて勢いよく突き刺る。 その様子が今でも暗闇となった視界にありありと浮かんでくる。 《狙った的は外さない》というのが俺の能力だった。 母は刺さりどころが良かったのか悪かったのか、すぐには絶命しなかった。 ただ言葉にならない喘ぎ声をしばらくあげていた。 しかし呆然としている間に静かになってしまっていた。
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