壱章--二人の狩人。

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目の前に大きな掲示板がある。 年季の入ったその掲示板には何枚もの紙が貼り付けられ、目立つようにと中央に貼られた紙が重なり合っている。 その紙をめくるのは細く繊細な女の指。 彼女は手当たり次第に掲示板に貼られた紙を物色していた。 歳は若く、艶のある桃色の髪が背中で揺れている。 端正な顔立ちをしているが、その表情はどこか曇っている。 「うーん…」 困った表情で掲示物を見渡す彼女の出で立ちは通常のそれとは違った。 全身を物ものしい鎧で覆い、腰には巨大な弓を引っさげている。 背は低くないが、鎧を着用していることを差し引いてもその細い身体がさらに違和感をかもし出す。
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