第一章

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そうではないことを知ったのは、二十代も半ばを過ぎて同級生の半分くらいが結婚した頃だったと思う。耳年増の文学少女にも遅い春が訪れ、溜め込んでひた隠しにしていた性知識と好奇心に実体験が追いついてくる頃に重なり、介護施設の部屋割りをめぐって刃傷沙汰があったとか、ゲートボールのチームわけで掴み合いの大喧嘩になったなどという話が、テレビのワイドショーや週刊誌の中だけの事ではなくてすぐ身近にあったのだと気づかされた。
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