第一章

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けれど、災害や病などによる不慮の死に急襲されないかぎり、誰だって歳をとって高齢者になる。なった時に、配偶者とであれ他の誰かとであれ素肌を寄せあいたい、抱き合いたいという情動が百パーセント完全に消滅しているという保証なんてどこにも無いのに、どうして男性はおおっぴらに女性の尻を追い回したとしても笑って許されて、女性が男性を求めるのははしたない、恥ずかしい、あるまじきことだと糾弾されなければならないのだろう。祖母は若い男に色目をつかったりしなだれかかったりしたわけではない。自分と同世代の普通のおじいちゃん達と、ゲートボールや老人会の集いなどで意気投合し、家に招いたりカラオケに行ったりしていただけだ。
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