第一章

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その相手の数が一人ではないからというだけで、あたかも獣か異常性欲者であるかのように好奇の目で見られ、侮蔑の言葉を投げつけられる。もちろん老若男女を問わず、不特定多数の異性とむやみやたらに同衾するのであれば、異常者と言われても仕方がない。けれどもう繁殖の能力も義務も無い、長い長い人生の幾山河を越えてきてその黄昏時にある者同士が、老いさらばえた体をひっそりと労りあい、暖めあうことに、どうしてそんなに目くじらをたてて嫌悪しなければならないのだろう。
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