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光源氏は病を患い、聖の加持(かじ=病気の治療のため、僧にお祈りしてもらう)を受けるため北山を訪れる。
そこで女が出入りする僧坊を見つけ、好奇心からのぞき見る。
すると十歳くらいの少女が、祖母の尼君のところへ駆け寄ってくるところだった。
お付きの子に飼っていた雀の子を逃がされたと、少女は泣いていた。
源氏の慕う藤壺宮に、少女がよく似ていたため、源氏は心引かれる。
尼君は子供っぽい少女を心配し、歌を詠む。
生いたたむ ありかも知らぬ 若草を
おくらす露ぞ 消えむ空なき
『大きくなってどこに落ち着くかもわからない若草の少女を、後に残していく露のように命にはかない私。
少女が気掛かりで死ぬに死ねない』
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