甘い傷

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出逢いは春だった。今よりも背の低かった俺は、真新しい制服に身を包み入学式に出向いた。 中学時代はこの女顔と身長のせいでよくからかわれていたが、よもや高校生になってまでからかわれるとは思っていなかった。 「うっわ可愛いー、制服間違ってんじゃねーの?」 背後から聞こえた声に眉を潜め振り返った俺は、人間が吹っ飛ぶのを目の当たりにすることとなった。 俺と同じくらい小柄の、愛嬌のある顔をした男が明らかに先輩であろう男をぶん殴っていたのだ。
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