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「ふぁああ、まだ眠い……」
俺は廊下を歩きながら欠伸をした。
「何言ってんだ、お前開始早々寝てたじゃないか」
「う゛……ま、まあいいじゃん、バレてないし」
哲也はため息をつき、俺を見る。
「お前、髪の色すごいんだからバレないほうがおかしいっつーの」
たはは、まあそうなるだろうな。
そして自分の教室へ歩く。
人が通り過ぎるたび、ヒソヒソと声が聞こえてくる。
「はぁ……ほんと、どうかしてほしいわ」
「ま、光が当たらなきゃいいんだろ?」
「じゃあ、哲也を影にして歩く」
そういってる間に教室に付き、自分の席に座る。
そして自己紹介とか配布物とかを貰い、HRが終わった途端、
「ねえ、どこ出身なの?」「可愛い~、ギュってしていい?」「髪綺麗~」
などと女子が純を囲んだ。
「ちょ、哲也、たすけ……て」
哲也はため息を吐いて女子の間を掻い潜り、俺の腕をつかみ、
「わりぃ、こいつ、俺の彼女なんだ。んじゃ」
そういい、走って廊下に逃げた。
は? 彼女!? なに血走ってんのこいつ!! アホじゃないの!?
教室からはいろいろと声が聞こえたが、無視して外まで走った。
校舎の玄関先まで走り、俺達はそこで止まった。
「ふーっ、いい汗かいた~」
「はぁはぁ……いい汗かいた~じゃねぇよ!なんだよ彼女ってふざけんのも対外に――」
哲也は純の唇に指を当て、
「そう言わないと脱出できなかっただろ、少しは落ち着け」
と言った。俺は顔を赤くして、ごめん、と言う。
実際、謝る義理は無いんだけどね、なんか謝ってしまう衝動に駆られる仕草だったからつい。
「さて、気を取り直して、部活勧誘ポスターとか見るか」
「そだね」
俺達は外にある掲示板を眺めていた。
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