ゆ~かいぶ!

2/21
前へ
/21ページ
次へ
「ふぁああ、まだ眠い……」  俺は廊下を歩きながら欠伸をした。 「何言ってんだ、お前開始早々寝てたじゃないか」 「う゛……ま、まあいいじゃん、バレてないし」  哲也はため息をつき、俺を見る。 「お前、髪の色すごいんだからバレないほうがおかしいっつーの」  たはは、まあそうなるだろうな。  そして自分の教室へ歩く。  人が通り過ぎるたび、ヒソヒソと声が聞こえてくる。 「はぁ……ほんと、どうかしてほしいわ」 「ま、光が当たらなきゃいいんだろ?」 「じゃあ、哲也を影にして歩く」  そういってる間に教室に付き、自分の席に座る。  そして自己紹介とか配布物とかを貰い、HRが終わった途端、 「ねえ、どこ出身なの?」「可愛い~、ギュってしていい?」「髪綺麗~」  などと女子が純を囲んだ。 「ちょ、哲也、たすけ……て」  哲也はため息を吐いて女子の間を掻い潜り、俺の腕をつかみ、 「わりぃ、こいつ、俺の彼女なんだ。んじゃ」  そういい、走って廊下に逃げた。  は? 彼女!? なに血走ってんのこいつ!! アホじゃないの!?  教室からはいろいろと声が聞こえたが、無視して外まで走った。  校舎の玄関先まで走り、俺達はそこで止まった。 「ふーっ、いい汗かいた~」 「はぁはぁ……いい汗かいた~じゃねぇよ!なんだよ彼女ってふざけんのも対外に――」  哲也は純の唇に指を当て、 「そう言わないと脱出できなかっただろ、少しは落ち着け」  と言った。俺は顔を赤くして、ごめん、と言う。  実際、謝る義理は無いんだけどね、なんか謝ってしまう衝動に駆られる仕草だったからつい。 「さて、気を取り直して、部活勧誘ポスターとか見るか」 「そだね」  俺達は外にある掲示板を眺めていた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加