740人が本棚に入れています
本棚に追加
「鈴ねえ毎年帰ってきてないの?」
「いや、去年までは家にいたから分からないんだよな。 大学進学と同時に一人暮らしするって言って飛び出してったから。 それで今まで一回も帰ってきてない。 メールはとんでもなく来るが……」
「ふ~ん、そうなんだ。 久しぶりに会ってみたい気も……ごめん、やっぱり遠慮しておきたいかも……」
「同感だ」
あまり言いたくないが、姉ちゃんは俺のことを溺愛している。 いや、昔は俺達のことを溺愛していた。 もちろん家族愛の方だが(切実にそっちであって欲しい)幼い頃は俺も凛花も姉ちゃんの過度な愛情表現に少し困っていた。
「鈴ねえはいいお姉ちゃんで大好きなんだけど……たまに嫌」
「凛花は知らないだろうけどな、俺はお前は引っ越してからあれを一人で受け続けて来たんだぞ……」
「あはは……」
凛花の言う通り、姉ちゃん良い姉だと思う。 昔から俺のことを気遣ってくれるし、優しいし……そういう意味では俺は姉ちゃんのことは好きだ。 もちろん家族としてだが。 だが、たまに暴走すると果てしなく危険だ。 RPGに例えると、レベル上げしてる途中に何気なく奥に進んだらボスが出て来ちゃった時くらい危険だ。 あのHPもMPも残りわずかでボス戦が始まってしまった時の絶望感は忘れない。
最初のコメントを投稿しよう!