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開いた天井の所に鞄を雑に投げ込み、扉?をしめる。
「…よし、準備完了。ではいざ出陣だな。」
と言って海は会議室の出入り口の方に歩いていった。
俺は遅れないようについていく。
扉の前に来たら、海はしゃがんで壁に耳をつけた。
「……人の声がする。」
「海の出待ちじゃない?」
笑って嫌みみたいに言うと、海は「うっとおし…」と、呟いて舌打ちした。
「そんなこと言っちゃダメっしょ。海に好意持ってくれてるんだから。」
「それがうっとおしいんだよ…」
疲れたように言う海は、なにかを思い出してるように見えた。
苦労してるんだなぁ。
生暖かい目で見つめてやると、海は居心地が悪そうに立ち上がった。
そして今度は会議室の窓の方へ歩いていく。
「ここ何階だ?」
「えーと、確か二階かな。」
「なら行けるな」
飛び降りようってか。
「ちょい待ち。帰りどうすんのさ」
「あー…縄でも引っ掻けてくか。」
海はそう言うと会議室を物色し始め、数分後に茶色の太くて長い縄を持ってきた。
「なんであるのさ…」
「多分この会議室の管理人が生徒をここに連れ込み、束縛マニアックプレイを……」
「腐男子ダマレ!!」
俺が耐えきれずに叫ぶと、海は笑って「顔真っ赤じゃねーか」と茶化してきた。
悪かったな、そーゆー話は苦手なんだよ。
腹が立ったので海のふくらはぎを蹴ってやる。
したら海はよく分からない悲鳴をあげ、ふくらはぎを押さえてうずくまった。
その隙に海から縄を取り上げ、いつもポケットに入れてある裁縫道具(ミニセット)から白くて細い糸を取りだし、縄の先の方に外れないように結ぶ。
何度か引っ張ってチェック。
…よし、大丈夫。
長く糸を出し、大体の所で糸切り鋏で切る。
その後丈夫そうな窓の下の方に付いてる落下防止の棒に縄をくくりつける。
「……よし、OK。」
「……弁慶の泣き所……」
「ほらほら、準備できたから行くよ。」
まだ痛そうにしている海を無理矢理立たせて、窓の方につれていく。
「なんだかんだ言いながらノリノリじゃねーか。」
「そりゃあね。やると決めたら楽しんだ者勝ちじゃん。」
「言えてるな。」
フッと笑い合う。
そして、海が拳をこっちに向けてきた。
ん、いつものか。
海の拳に俺の拳を軽くぶつける。
これはいつも悪さをするときの合図。
こんなんだから俺ら問題児って言われるんだよなぁ
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