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昇降口についた。
ざわざわと寮に帰る生徒や、部活に行く生徒で溢れている。
俺たちはそれを見ながら、バレないように校舎の壁に背中を隠し、作戦会議をする。
「よし、ここらへんでまず第一テロだ。」
「テロってゆーかいたずらね。」
「どっちも同じだろ。」
いや、同じな訳ないだろ。
海の言葉に呆れながらも、俺は出陣の用意をする。
肩掛け型のバックから数個小さなびっくり箱を取り出す。
………よし。
海の方を見てみると、海も手に箱を持っており、準備完了の様だった。
「準備はいいか?」
「OK。」
「じゃ………スタートだッ!!」
海の叫ぶような合図と共に俺らは走り出す。
走ってくる俺らに気づいた生徒達がざわざわとざわめき始める。
『え、なにあのかっこいい人たち…』
『見たことない人たちだ』
『こっちに来るぞ?』
呆然とする人、冷静に考える人、困惑する人…など、さまざまな人がいる。
ふっ…だがそんなもん関係ないね。
「これ、あげる。」
「え?」
すぐそばにいる生徒に、笑いながら箱を渡す。
ふわりと、いつもの様なへらっとした軽い笑みではなく、あくまで優しく笑う。
すると、困惑しながらも受け取ってくれた。
よし、それでいいのよ。
「君にも、どうぞ。」
「へ、あ、ありがとうございます。」
さっき渡した子の近くにいた子にも渡す。
その子は素直に受け取ってくれた。
「ほら、皆ボーッと立ってないでおいでよ。いいものあげるよ。」
近くにいる生徒全員に呼び掛ける。
状況についていけないのか、ボーッと立ちすくんでいる子も結構いるが、数名はおずおずと近づいてきてくれた。
「おい、沙……相棒。それは反則だろ。」
「ふっ、どんなやり方だろうが渡した者勝ちだよ。」
自慢げに言うと、海は悔しそうに睨んできた。
海は対人能力が足りないもんね。
愛想をよくすればいいのに。
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