2057人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は皆を呼び掛けて、集まってきた人に配る。
海は適当にすぐそばにいた人たちを捕まえて押し付ける。
そんな風に配りはじめて2、3分経っただろうか。
「そろそろ風紀が気づくんじゃないか?」
「それもそうだね。」
海が、唐突に声をかけてきて気づく。
確かにそろそろいい頃合いかも。
「じゃあ皆、箱開けてみてね。」
「お前らごみ捨ててくんじゃねーぞ。」
肩掛けバックをもう一度しっかりと肩にかけ直し、今度は海と一緒に校舎の中に走っていく。
靴は適当に空いてる下駄箱に詰め、忘れた者用のスリッパを借りる。
……そうだ。適当に下駄箱にも詰めていくか。
すぐ近くにある下駄箱を開けて、ランダムで箱を入れていく。
海も俺を見て『それいいな』と思ったのか、海も下駄箱に詰めていた。
うちの高校は下駄箱にちゃんと蓋があるのでこれなら風紀委員にもバレないだろう。
…下駄箱に詰め始めて数分。
昇降口の方がざわめき始めた。
「あ、やべ、風紀来た。」
「あー、ちょっと時間とりすぎたね。急ごうか。」
下駄箱に詰める作業を中断し、俺たちは下駄箱から離れ廊下を走る。
「どういうルートで行く?」
「……まず、このまま箱を配りながら廊下を突き当たりまで進んで、奥の階段から最上階まで直行。それから階段を降り、廊下を走るの繰り返しでジグザグに進む。んで、二階まで来たら窓から飛び降りる。」
「……んOK。」
その作戦を、図を作りながら考えてみる。
ふむふむ。わりといい作戦だな。
……途中で鉢合わせとかにならなきゃいいが。
廊下で、通りかかった生徒全員に箱を押し付けながら走る。
「なぁ、相棒ー?今どれくらい箱配った?」
「3分の1ぐらいだな。」
まだまだ残ってるなー。
走っていると、後ろの方から『パァンッ!!』って小さな破裂音と『きゃぁ!』とか『うわぁっ!!』って悲鳴が聞こえてくる。
ちょっとだけ同情はするが正直面白くて笑ってしまう。
俺ちょっと腹黒くなったかなぁ…と思いながら海をチラッと見ると、悲鳴や破裂音が聞こえてくる度めちゃくちゃ黒い笑顔でニヤニヤしてるためなんとも言えない。
俺、なにがあってもああはなりたくないな……。
最初のコメントを投稿しよう!