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『そこの二人、止まれ!!』
「止まれって言われて止まるバカがいるかっつーんだ。出直してこい」
『んだとゴラァァァァア!!!』
「ちょ、海…ゴホン。相棒、わざわざ風紀委員長を挑発しない!」
「だってあいつの反応見てておもしれーじゃん。」
『んだとゴラァァァァア!!!』
「その台詞さっきと同じ。レパートリーもっと増やせよ。」
『んだとゴ…テメェェェェエ!!!』
「おぉ、さっきとは違うな。」
「ちょ…くっ、ふはっ…全然か、変わってな……!!」
『笑うなぁぁぁぁあ!!!』
ただいま三階廊下を疾走中。
風紀委員の皆と風紀委員長とわりとリアルおにごっこに近いことしてる。
海が風紀委員長を挑発したせいで、風紀委員長の顔が鬼だ。般若だ。
イケメンが台無し。
あれ、捕まったら絶対ただじゃすまないな……。
「あ、これどうぞ。」
「へ?」
つかまらないように走りながら通りかかった生徒に箱を渡す。
大体の生徒は戸惑いながらも受け取ってくれるから楽だ。
「海、あと箱どれくらい?」
「俺は手に持ってるのと、バックの中にあと1つだけ。そっちは?」
「ん、こっちも後2つ。」
このままだと、二階で飛び降りる時には、ちゃんと全部配れ終われそうだ。
『何をごちゃごちゃとしゃべってるんだ!!』
風紀委員長が拡声器を使って話しかけてくる。
だが、ここは俺ら。
………そう、完 全 無 視 !。
『すみません、そこのお二人』
無視を続けていたら声が変わった。
さっきの風紀委員長よりも細く、柔らかい声だ。
『私は風紀副委員長です。これが、最後の警告です。今すぐ自主しなさい。……でないと…』
「………でないと?」
風紀副委員長は、そこで息を切り、少し間が空く。
『強行策に出ます。』
「……へぇ、面白そうじゃん。」
海が、めっちゃ黒い顔で笑った。
なんか、嫌な予感がする。
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