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階段を駆け降り、二階の廊下を走る。
すると、目の前に三人組の生徒が見えた。
「あそこ、あいつらに残りの箱押し付けてから、近い窓から飛び降りるぞ。」
海の言葉に頷き、三人組に走り寄る。
三人組は、走ってくる俺らに気づき『え、なにあいつら』みたいな顔でこっちを見てきた。
「これ、あげる。」
「ありがたく思え」
すれ違いざまに、俺が箱一個、海が箱二個を三人に投げ渡す。
……残り俺の1つか。
「俺の勝ちだな。」
「…別に勝負じゃないし。」
「とか言いながら悔しそうじゃんか」
「うっせ。ほら、飛び降りるんでしょーが。あの窓とかいいんじゃない?」
「そうだな。」
適当な窓に近づき、窓の鍵を外し横にスライドして開ける。
すると窓から勢いよく風が入ってきて俺らの髪を揺らす。
「風が俺を呼んでいる…」と、ノリで言ってみたら、海が引いた目でこっちを見てきたので俺のハートはもうブレイクン。
いたたまれずに海から顔を背け、来た道の方を見ると、『パァンッ』という音と『うわぁっ』っていう声が聞こえた。
おっし、ザマァ!
内心盛り上がっていると、奥の方から六人ぐらいが走ってくるのが見えた。
やば、風紀追いついてきた。
「海、風紀来たよ。急いで。」
「……ダメだ、やられた。」
「は?」
海が窓の外を見て悔しそうに顔を歪めている。
俺も横から覗き込むと……そこには大量の一般生徒。
「な……」
思わず絶句してしまう。
なんでこんなに生徒が…?
そう呆然としていると、マイクなど特有のあのキィィィィイン─……という耳ざわりな音が聞こえてきた。
『観念しろ、テメーら!!』
「お前らは包囲されている!大人しく投降せよ……ってか。どこの刑事ドラマ。」
「まさか自分達で体験するとは思わなかったよ……」
苦笑いして額に手を当てる。
なんかアホすぎて頭いてえ。
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