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……なら、後ろの教室は?
鍵が掛かってる。鍵を取りに行くとしても、鍵は職員室。
そんな時間は無いし、ましてや別校舎だ。
……いや、待てよ…ここの鍵って…
「ねぇ、海。この学校の教室の鍵ってカードキーだっけ」
「ある程度はそうだな。生徒会役員はマスターキーもらえるから、どこでも開くぞ。ほれ」
ピラりと、懐から自分のカードキーを取り出して見せびらかすかのように指の隙間に挟んだ。
「けど、これで開けようしてるならダメだ。この学校結構セキュリティとか気にしてるから開けるとカードの持ち主の名前が中央学園システムパーソナルコンピューターに記録されてくからな。」
「名前長い」
つまり、ダメってことか……。
でも、ここさえ開けば逃げ切れるかも。
なら、選択肢は一つしかないだろう。
「ぶっ壊すのか?」
「いや、もう少しオブラートに包もうよ。」
後ろの教室を強行突破する、それしかない。
ぶっ壊すとか海が言ってしまったが、別に壊すわけじゃない。
ただ、蹴り開けるというだけで……うん、同じことか。
「1、2の3で、同時に扉を蹴る。オッケー?」
「オーケーまかせろ。」
「じゃあ、行くよ?1、2の……」
「「3ッ!!!」」
バンッと床を蹴り、勢いをつけ扉に足を伸ばす。
ガシャンッ!!
扉が外れ、床に倒れる。
扉についてる曇りガラスが、床に倒れた反動で割れたのは気のせいだ。
とりあえず、成功だ。
「ナイスタイミング」
「そっちこそ」
長年の付き合いのため、お互いのタイミングなどは分かりきってるからね。
成功の印に、カツンっと拳を合わせる。
「んじゃ、さっさと窓から脱出を……」
話してる途中で、言葉を止めた海。
ある一点を見つめて動かない。
なにがあるのかと、俺も目を向けると……そこには
押 し 倒 し て い る 生 徒 と、 押 し 倒 さ れ て る 生 徒 。
二人が、突然現れた俺等に驚いた顔でこっちを見ていた。
「………ちょ、体格差萌え。」
ポツリと、言葉を漏らす海と、固まる俺。
俺は、無意識にピコハンを手にしていた。
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