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「ばいばいっ。」
少女2人が手を振り合う。
私の名前は白雪 華月季<しらゆき かずき>。肩につくくらいの真っ黒な髪に同じくらい黒い瞳。背が低いけれどそのわりには声が大きく元気っ子。
そしてもう1人の少女は佐月 葉希<さがつ ようき>。長い髪を赤いリボンで横の上のほうに束ねている。背は平均くらい。私とは逆でおとなしい性格。女の子らしい、と言ったほうが良いだろう。
2人とも高校1年生でクラスメイト。今は学校からの帰り道。
私はいつも通り葉希とわかれると寄り道した。
「CRIMEよっていこうかな。」
寄っていこうかな、なんて言いながらもすでに向かっている私は馬鹿なのだろうか。CRIME、というのは私のお気に入りの雑貨屋。可愛い系の小物がたくさん売っている。
ちょうど店に行く途中。
信号が青になったので横断歩道を渡っている時だった。
車のブレーキ音が鳴り響く。
ふと振り返ると、目の前に車があった。
あぁ、私死ぬのか。
なんてこの状況で冷静な自分が不思議だった。なんだか笑えてくる。
その瞬間がスローモーションの感じた。おもわず瞳を閉じる。
「貴方死にたいの?」
その一言で閉じていた瞳を開く。
何よりも生きていた、という事実に驚いた。たしかに目の前に、すぐ近くに車があったはずなのに。
さらにいうと目の前にあったのは車ではなく人だった。葉希よりも長い金色に輝く髪。それとは違いピンク色のきれいな瞳。背が高く、猫目が印象的だった。可愛いではなく、美人。
彼女は私を抱えていたらしい。すぐにおろしてくれた。
彼女が轢かれそうなところを助けてくれたらしい。
しかしあれほど車と近い距離にいた私を助け出すことができた彼女はいったい何者なのだろうか。考えても答えなんて分かるはずがないのだが。
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