契約しようか。

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いつもは途中まで葉希と帰っているのだが、今日は葉希が日直なため1人で帰ることになった。 本音を言うと1人で帰るのは気が引けるのだが。ここ数日何も起きていなかったため油断していないといえば嘘になる。 しかし、人間誰しも常に気を張っていることなど無理なわけで。 『死』なんてものはどこにでもある身近なものだ。だけれど遠い存在に感じてしまう。 死にそうになった私ですら近い存在なんて思えない。 それはただ私が他の人と違っているからなのか。それとも皆そう思ってしまうのか。 油断、少しだけ心のどこかでしている。けれどやっぱり1人で帰るのは怖くてはや歩きをする。 何回か転びそうになりながら私は歩く。 「いつから・・・こんなに臆病になったんだろう。」 昔は怖いものなんてなかった。 声にだして自分自身に問いかけてみる。 もちろん、答えなんてかえってくるはずもないわけで、すぐにその声は静寂に飲み込まれた。 私は大人になっていくと同時に怖いものが増えていくのではないかと思う。 『いつのまにか』。それが答え。問う必要など、なかったのかもしれない。 しかしその答えはどこか切なく感じられた。 その日は無事に家に帰ることができた。家につくと同時に安堵の息がこぼれる。 寝る前に、中学生の時使っていた剣道の竹刀を取り出してきた。 中2の夏、部活が終わってから触ることのなかったもの。どこか懐かしく思えた。 竹刀を壁に立て掛け、その日は眠りについた。
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