蝙蝠と吸血鬼としもべと姫

出会い

さて、なぜ私が6年この部屋にひきこもっているかというと。

私の家はけっこう名の知れた吸血鬼一族で、私はその家の4人兄妹の2番目の長女として生まれた。

そして、生まれた直後に行われたあるテストの結果により、私は今のところ次期当主ということになっている。

だが。

私にこの家を継ぐ気は毛頭ない。

本当はこのやけに突き出した八重歯も嫌いだし、この尖がった耳も嫌い。

この真っ白い肌も真っ赤な目も真っ白な髪も...。

「こんなこと言ってたら、結局自分の全てを嫌いになってしまいそう...」

自分の零した言葉にさえも嫌悪する。

ためしに、この髪をバッサリと切り落としてしまおうか。

鋏を探そうとした、その時だった。