熱海

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電車にのり、荻窪、中野、過ぎて行った。 二人は座れず出入口付近に、 立っていて、他愛もない会話をしていた。 「新宿すぎたら、座れるよ。」 って俺が言って、 大きい旅行用のバックを瑠奈から、無言で持とうとすると、 「大丈夫、もう新宿つくから。」 って俺から、 バックを遠ざける様な感じで体を動かした。 新宿に着き、案の定沢山の乗客が降りて行き、その間に空いた席にすわった。 そして、また沢山の乗客が乗ってきた。 俺はいつも電車の通勤で、乗り慣れてるのはお店のある新宿迄で、 ここからの景色は、少し見馴れない風景になる。 それから、しばらく電車に揺られているうちに、俺に睡魔が襲ってきた。 電車の揺れが、俺にはゆり篭の様に心地よく、よく仕事の帰りの電車では乗り過ごす事も多かった。 お酒を飲んでいるせいもあるが、 新宿から、高尾まで寝すごしてしまう事も希にあった。 そんな眠そうな俺を見て瑠奈が、 「しゅんねむい?」 と聞いてきた。 「うん。ちょっと」と答えると、 「じゃ、東京駅迄寝ててもいいよ。着いたら起こすから。」 って でも俺は、 「大丈夫だよ。起きてる」 と答えたが、5分もしないうちに睡魔にやられていた。 しばらく電車に揺られていると、 瑠奈が、 「しゅんついたよ。東京駅」 車内アナウンスからも、「東京、東京ご乗車の際は‥‥‥‥」 と流れていた。 「あれ、やっぱり寝ちゃったんだ?」 と言うと、 瑠奈は、 「あれからすぐにね」 って、呆れた顔でこたえた。 そうこうしている内に、電車はホームに止まった。 二人は、すぐにお互いの荷物を持って降りる準備し立ち上がるが、 東京駅も降車客が多く座っている二人が降りるのは、少し時間がかかった。 その時も、瑠奈は大きい方の鞄を大事に抱えていた。
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