熱海2

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ホテルは、三階立ての大きいとは言えないホテルだったが、 比較的綺麗なホテルだった。 自動ドアを通ると、 女性のホテルの50代位の従業員が出迎えてくれて、 「いらっしゃいませ。ご予約ですか?」と聞かた。 瑠奈が 「はい。予約していた村上です。遅くなってすみません。」 と答えた。 って俺の名前で予約してるじゃんと思いながらも、 遅くなってすみませんって言った事の方が気になった。 「16時にチェックイン予定の村上様ですね。大丈夫ですよ。お電話いただきましたし。」 俺は腕時計を見ると、 18時を少し回っていた。 16時に着くなら、もっと早く、 家をでなければならなかった。 でも、瑠奈はプチ旅行の事は言ってもチェックインの時間迄は、 言わなかった。 今朝いつもより遅い8時頃帰ってきた時点で、俺に気を使ってくれたのだろう。 少しでも寝れるように。 それに俺に気づかないところで、 ホテルに電話していたんだ。 何時かけたのか分からないが、 やはり俺が気にしない様にしてくれた事は分かった。 瑠奈の優しさを感じた。 従業員の 「お車で来られましたか?」 の問いに、 「いえ、新幹線で。」 と瑠奈が答えた。 「そうですか。お疲れ様です。 フロントの方にどうぞ。」と、 スリッパを出してくれた。 「お靴の方は、そこの下駄箱にお入れ下さい」 と玄関にある鍵つきの下駄箱を指さした。 玄関には、 その他、大きな蛙の置物や、 民芸品の置物などが並べられていた。
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