第一章 ~異世界へのミチ~

4/8
前へ
/10ページ
次へ
「ん?」 教室がやけにざわついている。いつも多少のざわつきはあるが、もっと穏やかなはずなのに。 それにみんなの顔が少し険しい。よく見ると涙ぐむ女子もいる。 何がおきたんだ!? 俺は教室の入口で立ちすくんでいた。 戸惑いを隠せない俺に、親友の悠樹(ユウキ)が近づいてきた。 「空人! 沢村先生が行方不明だって。聞いたか!?」 「行方不明!?」 俺は今朝、妹が言っていた事を思い出す。まさか、本当にそんな事が起こるのか? 「やっぱり、あの事件は本当に起こるんだ」 ビクビク震えている悠樹を何とか慰めようと肩に腕を回した。 「何ビビってんだよっ! 大丈夫。きっとすぐに見つかるさっ」 震えが止まり、いつもの元気を少し取り戻したかのように、悠樹は笑った。 その笑顔は、少し悲しくも見えた。 担任の先生が行方不明だ。悲しくない方がおかしい。 人が消える。普通じゃ考えられない。 一体何が起きているんだ?
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加