青い桜

エピローグ

今これから此処で話す事は、今もこれからもきっと誰に気にされる事無く消えて無くなってしまう事でしょう。
そしてそれはあの日、初めて作曲したあの曲が頼んでもいない筈の夕暮れを連れ帰って来た瞬間に似ています。
私の貴方が誰かにぶつかりながらぼろぼろになり戻って来ると、この夕暮れに染まりながらも私の作った曲を聴いている姿を見ては少しだけ安心するのです。
あの日の事を思い出すと私は何処に居ても貴方に逢いたくなります。
そして何時か此処に書き記した全ては貴方が見つけて読んでくれるかも知れません。貴方意外に読む人も居ないのです。それでも私成りに少しは淋しいと言う事は分かっているのです。
私の体に流れたこの血潮はこの地球に吹き荒れる風に良く似ています。くるくると回るこの風車は、貴方の前でだけ回る私の悪戯です。私が吹いた風に乗って回っているのです。
貴方に私の気持ちが全て分かって貰うまではこの風車を回し続けます。
貴方はきっと今も私の事を考えています。私は満足なのです。そして私は貴方と過ごしたこの人生の事や全ての事を忘れないでしょう。
何故なら貴方が今も此処にいるから。
そして私の事を見てるから。
これからも私が貴方を見ています。
私の過去も私が貴方に教えてあげ無くてはならないのです。二度と戻って来る事の無い明日に成らない為にも貴方にだけは教えてあげます。
貴方だけは私を忘れないで下さい。