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「そうだが…だったらどうした。」
「お前が、誰かといるなんてな。」
「うるせえ。金持ちの“脳”無しには関係ねえだろうよ。」
「なんだと?!オレたちがメシを持って来なきゃ、テメーらなんか餓死だ!!持ってこなくなっていいのか?!」
「そうなりゃ、テメーらが困んだろうよ。他の方法で、金稼ぎもできないアホが…。」
「…!!」
イキルは、チヌの分と自分の分の配給を持ち、貴族たちを睨みながら寝床へ戻った。
「イキル…いいのか?貴族に逆らって。」
「いんだよ。あいつらは、絶対にオレを殺せない…。」
「?」
「オレも詳しくは知らねえ。いいよ、お前は知らなくて。さあ、メシだメシ!」
何を言っても、何をしても、オレはあいつらには殺されない。
どんな理由があろうと、いっそ殺してくれればいいのに…。
そう思った日から三日…。
あの、イキルの隣に寝床を作っていた男が帰ってきた。
死体となって…。
「ツゲじい。」
「イキルか。あの男が帰った。どうやら、使い捨てにされたようだ。お前たちは見るな?子どもには刺激が強い。」
「そんなにか?」
「ああ。顔も性別も判らない程にな。」
「…殺されたのか。」
「思ったよりも使えないからと、サンドバッグのように、毎日暴行を受けていたようでな。切られたのか、手足の指も無くなっていたよ。髪の毛は毟(むし)られた痕があった。」
「そうか…。」
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