a Live 2

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天聖族は、自分たちは神に近い存在だと言う。 だから、奴隷を買い、気に食わなければ殺す。 何をしても許される。 オレたち奴隷は、逆らえない。 髪を毟られようが、手をもがれようが、爪を剥がされようが、殺されそうになっても…。 「ねえ、イキル。天聖族の住む街は、どんな所だろうなあ…きっと、綺麗なんだろうね。」 無邪気に、チヌが笑顔でイキルに言った。 「あんな所、嫌な臭いがして、吐き気がする場所だ。」 イキルが、眉間にシワを作りながら、嫌な顔をする。 「行った事があるの?!」 チヌが、目をキラキラとさせる。 「ああ…まあ、少しな。」 チヌを見ずに、イキルは答えた。 この世界じゃ、人は人として扱われない。 天聖族も、貴族も、見ているだけで反吐が出る。 今のこの世界に、人がまともに住める場所なんてない。
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