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奴隷を管理して、売るのも殺すのも貴族。
こいつらは、人の皮を被った悪魔だ。
「ツゲじい。あいつの遺体は?」
「ああ。明日にでも埋葬してやるつもりだ。」
「そうか…。貴族の奴らは、平気でオレたちを殺すんだな。」
「奴らは、私らを人とは思っておらん。」
「…。」
平気な顔して、あいつらはオレたちを…Slave Cityの人間を殺していく。
あいつらにとって、オレたちは人じゃない。
「イキル…。」
「その名で呼ぶなと言ったろ、チヌ。」
「なんでだよ!スラブじゃなくて、イキルじゃねえか、お前は…。」
「…もう、好きにしろ。」
呆れたようにイキルは言った。
「イキル、今日死体で戻った人は?」
「あいつは、名前がないんだ。」
「えっ…?」
チヌは、目を丸くする。
「生まれた時から独りで、赤ん坊だったあいつを育てたのはツゲじいだ。名前を付けて何度呼んでも返事をしねえ、その赤ん坊を、名無しで育てた。大きくなって、大人になっても、あいつは名前を欲しがらなかった。」
チヌは、首を傾げながら聞いていた。
「なぜ名前を…。」
「オレも気になって、本人に直接聞いたら、ここじゃあ、名前があっても、奴隷として売られれば、それも関係なくなるからって。」
Slave Cityの人間は、奴隷として売られると、その家のマークのタトゥーを入れられ、名前も使わせてもらえず、新たに買った天聖族が名前を付け直すのだ…。
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