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「おいっ!!奴隷の分際で、我ら貴族に何をする!!」
一緒に来ていた、もう一人の貴族が大声で叫ぶ。
「奴隷の分際でだと?!オレたちは、好きで奴隷の街に生まれたんじゃねえよ。俺は、少なくとも、生きて居なければならないのなら、お前ら貴族や天聖族のように、人を人とも思わない人間になるくらいなら、ここで生きている方が、汚れずに済む!」
イキルは、貴族に背を向けると、そのまま何事もなかったように歩き出した。
オレは、貴族にも天聖族にもなりたくない。
あいつらは、汚れている。
嫌な臭いのする街で、嫌な臭いを放ちながら生きてる。
そんな人間にはなりたくない。
「イキル!!」
背後から、イキルを呼ぶ声がした。
「…チヌ。」
笑顔のチヌが、駆け寄ってきた。
「イキル先に行くなよ!貴族なんてぶっ飛ばして良かったの?」
「ああ…すまん。貴族の事は…大丈夫だ。オレは。」
「前にも言ってたよね?なんで?」
「だから、オレにも詳しくは分かんねえの。」
「ふーん。」
そう…オレは、あいつらに殺されない。
理由なんか知らない…でも、オレを殺す事は出来ない。
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