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あの時の少女が、N.C.へ売られて三日。
なぜか、少女が戻ってきた…。
「スラブ兄ちゃん…。」
「お前…確か売られた?どうして三日で?」
「わからないけど…あたしは、奴隷に出来ないって。」
「お前、名前は…。」
「ナズナ。」
「ナズナ…怪我してないか?」
「ムチで打たれた…あと、指を切られた…足の。一本だけ。」
「そうか…。血は?」
「今は止まってる。同じ奴隷のお兄さんが、止血してくれて。でも、まだ痛い。」
ナズナは、終始笑顔で答えた。
そんな姿を見て、イキルは心が痛んだ。
「チヌ。」
「なに?」
「ナズナの傷…ここじゃ何も出来ないから、ツゲじいに見せてこい。歩くのに、手貸してやれ。」
「わかった!ナズナちゃん、行こうか。」
チヌは、笑顔でナズナに手を差し出す。
「うん。」
「…ナズナ、お前いくつになる?」
「五つ。」
ナズナが不思議そうな顔をしつつ、答えた。
「そうか。早く行って見てもらえよ?」
笑顔のイキル。
「うん!!」
再びナズナは、笑顔で返事をし、チヌとツゲじいの所へと行った。
五歳のナズナが、足の指を切られ、ムチで叩かれ、使い物にならないと、ここへ戻される。
まだ、ナズナは殺されなかっただけましだと、オレは思っていた。
あの時までは…。
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