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ここは、Slave Ctiyと言う奴隷の街。
子どもから老人まで、多くの人々が住んでいる。
金なんて物を、この街の子どもたちは知らない。
美味しいご飯の意味や、平穏の意味すら知らない。
この街では、子どもも大人も、ボロボロの服を着ている。
服だって、まともに買えないし、店だってない。だだ、奴隷としての運命を背負い生まれた人間たちなのだ。
…とうとう、十三歳になった。
こんな世界で、十三年も生きた。
オレは、何も知らない。
誰もいない。
両親もいなければ、顔も覚えていない。
オレはなぜ生まれ、なぜ生きるのか…。
「よう、イキル。」
突然、イキルに声を掛けたのは、イキルが寝床にしている橋の下で、隣に寝床を作っている男だった。
「その名を呼ぶな。」
イキルは睨む。
「仕方ねえさ、お前の名はイキルなんだ。」
「うるさい。その名を呼ぶな。」
「そうかよ、スラブ。」
「…。」
イキルは、こんな街に生まれて、“生きる”事を連想する“イキル”なんて名前が大嫌いだった。
その名前ではなく、この街と同じスラブと言う名を、自分で自分に付けるくらいに。
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