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「なあ…。」
イキルが話し掛ける。
「あ?」
「お前は、どうしてこのS.C.にいる?奴隷になるかもしれないって言うのに…なぜ、毎日楽しそうなんだ?」
「さあなあ…考えた事もねえよ。」
「そうか…。」
「お前は?S.C.でどうなんだよ。」
「オレは…今すぐ消えたい。」
「えっ?」
オレは、出来る事なら、今すぐにでも、この世から消えてしまいたい。
この世界にいても、意味なんてない。
前なんて見えない。
「…オレは、この世にいたくない。」
「S.C.が嫌いか?」
「嫌いも何も、オレはこの世界が嫌いだし、オレはオレも嫌いだ。」
「相変わらず、病んでんのな。」
「…。」
別に、病んでる訳じゃない。
この、くだらない世界が嫌いなんだ。
Nobility City…あいつらは本当にくだらない。
オレたちSlave Cityの人間を人間と思っていない。
モノとしてしか扱わない。
その日の夜、イキルの隣でいつも寝ていた、あの男が帰って来なかった。
N.C.へと売り飛ばされたのだ。
N.C.の貴族は、S.C.を管理している。
天聖族からの依頼で、条件に見合ったS.C.の人間を、奴隷として売り、自分の富を増やすために…。
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