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「あのオヤジ…N.C.に売られたか…。」
オレも、いつかは売られるんだと思った。
恐くはない。
そう思って、13年経った。
子どもの奴隷は結構売れる。
大人になるまで、奴隷として使えるからだ。
「オレもいつか…。」
考えると、ますます感情を殺したくなった。
10代20代で奴隷として売れる事がなくても、40代半ばまでは、売られる可能性がある。40代後半からは、売れなくなるが、売れ残り、一生をこのSlave Cityで過ごす事は、ごく稀だ。
その稀なじぃさんが一人…古株がいる。
「よう。イキル」
イキルに話し掛けたのは、例の古株、ツゲキチである。
「…ツゲじい。」
「あの若造…今日の夜、急にN.C.に売られたようだ。」
「そうかよ。」
「お前は、まだここが嫌いか?」
「ここも、N.C.も…全てだ。」
「イキル…お前は、その名の通り、生きなければいかんぞ。」
「こんな名前…捨ててえくらいだ。」
それを聞いたツゲじいは、イキルに笑いかける。
「…だから、お前はスラブなんて名を、自分でつけたのか。」
「そうだ。この街と同じ名前…この世にはいらないオレのような名前だよ。」
そう言うと、イキルはツゲじいを無視して眠りについた。
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